大野コラム(1)子どもの挑戦と”コスト”

仕事柄、私立小学校の先生とお話しさせていただく機会が多いのですが、「うちの生徒は、どんな木でも登ってしまう」「昼休みが終わると、膝にひとつやふたつの擦り傷を作って帰ってくる」というような話を、「多少の危険を許容する校風を誇る」というニュアンスで語られる方が多いものです。

それらは確かに、自慢できることです。

包丁を持たせるとか、火にかけた鍋を扱わせるとか、アイロンを使わせるなどの家事や、木登り、遠泳、3段タワーの組体操などなど、一見すると「危険なこと」に挑戦させるには、コストがかかります。特に学校や保育園で命を預かっている子どもに挑戦させるのは、非常にコストフルなこと。

コストの内訳は、成行きを見守り、成長を待つ時間と手間、大きな危険に発展しないよう見守る人間の数と、そこへ至る信頼を構築する指導力。

それらのコストをかけられない学校や保育園では、危険を一律に排除せざるを得ないわけですから、子どもに挑戦させられることは、豊かなことなのです。

こどもと幼児園は、スタッフ一同の知力や体力の限りを尽くし、たくさんの危険に挑戦し、それを誇れる環境にしたいと考えています。子どもは本物を通じて、学ぶのですから。

大野将平